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■言語の壁を超える歌声が誕生！2023年映画界の隠れた名作

2023年公開の音楽ドラマ『歌声のゆくえ』が静かな反響を呼んでいる。山田洋次監督が87歳で挑んだ異色作で、新人女優・松本ほのかと人気俳優の坂口健太郎がW主演。第36回東京国際映画祭で最優秀音楽賞を受賞し、主題歌「コトバのない詩」がオリコン週間ランキングで急上昇する異例の現象を起こした。

■言葉を失った少女の"音色ルネサンス"

舞台は方言の強い九州の漁村。吃音に悩む高校生・小椋みのり（松本）が、言語療法の一環で始めた「日本語歌唱法」で才能を開花させる。方言矯正用に配られた童謡CDがきっかけで、古賀裕也演じる元音楽プロデューサーと出会い、演歌とJ-POPが融合した新曲「潮騒レクイエム」を制作する過程が情感たっぷりに描かれる。

■キャラクターに宿る"声のドラマ"

吃音の描写には言語学者が全面監修。みのりが発声練習で畳の縁を指でなぞる仕草や、母（吉田羊）との手話会話シーンに現実感が滲む。音楽プロデューサー役の古賀が「君の声には波の音が混ざっている」と指摘する場面は、海女の家系設定が光る伏線となっている。サブキャラの方言指導には実際の漁師が参加し、劇中歌の作詞協力では演歌詩人が関わるなど、細部まで本物志向が貫かれた。

■SNSで話題の"あのシーン"に迫る

「吃音の子が滑舌練習用に『上を向いて歩こう』歌い出す場面で号哭。言葉の壁は音楽で超えられるんだ」（@music_lover2023）
「漁船の上で演歌とHIPHOPが融合するライブシーン！伝統と現代の架け橋を見た気がする」（@umi_no_oto）
「祖母が『戦後よく歌ったわ』と呟きながら劇中歌を口ずさんでいた。音楽の記憶力は凄い」（@natsukashi_sound）

■歌は言葉を超えるメッセージボトル

劇中で繰り返される「正しい日本語より温かい日本語を」という台詞がすべてを物語る。方言訛りの歌声が東京の音楽業界で受け入れられる過程は、現代日本の多様性問題を逆照射する。最後の船上ライブで漁火とLED照明が共演するシーンは、伝統と革新が奏でるハーモニーの美しさを映像化した圧巻のクライマックス。言葉に不自由な主人公が、逆に音楽で人々をつなぐ逆転劇は、言語教育の可能性まで問いかける力作だ。

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